【バイク事故判例⑭】バイクが加害車両の後方から同方向に進行中、衝突し、大腿部の瘢痕(後遺障害14級)が残った37歳女性のケース

(平成23年12月13日京都地裁判決/出典:交民 44巻6号1584頁)

関係車両

バイク(普通自動二輪車)vs普通乗用自動車

 

事故の状況

事故現場は、片側一車線の直線道路(中央線が黄色実線)。加害車両は、対向車線を右折して飲食店の駐車場に入るつもりで、右ウインカーを出しながら中央線に接近した位置で、赤信号待ちをしていた。青信号に変わったので、右折を開始したところ、直後に、右後方から走行してきたバイクと加害車両の右側面前部が衝突し、バイクは、右前方7、8メートル先で転倒・停止した。

 

けが(傷害)

左大腿部皮下血腫・擦過傷、左膝打撲、右肘打撲、左足打撲、左大腿皮膚壊死、脳内出血(外傷性)の疑い、左肩・左上腕打撲、蜂窩織炎の疑い、左半月板損傷の疑い、頸部痛及び左大腿壊疽

 

入院等の期間

①入院2ヶ月(58日)
②通院約1年6ヶ月(実日数は35日)

 

後遺障害

左大腿部皮下血腫等後の左大腿内側部の瘢痕(醜状障害・14級5号)、同部つっぱり感、内側下腿に至るしびれ、感覚障害、患部の疼痛等(当該等級に含まれる)

 

過失の割合

バイク35%、乗用車65%

 

判決のポイント

①過失割合(過失相殺)

乗用車は、対向車線を横断して路外に出るに当たり、右後方から追走してくる自動二輪車等の有無及びその動静を確認すべき注意義務があるが、右後方確認をしなかった過失があるとされた。

 

一方、バイクについては、追走するに当たり、乗用車が急停止したときにも追突を避けることができるよう車間距離を保たなければならない義務があるのに(道路交通法26条)、これを怠り至近距離まで接近したとし、さらに、乗用車が右方の路外駐車場に入ることも予想しなければならないのに、右折するものと軽信して措置を採らなかった過失があるとした。その上で、双方の過失割合を、バイク35、乗用車65と認定した。

 

②逸失利益

被害者は派遣社員。後遺症の仕事への影響について、被害者が、「衣類が接触すると疼痛を感じることがあるためズボンをはくにも配慮が必要で、そのため、制服の指定される職場への就職には支障がある」等と主張したのに対して、加害者側は、「制服の指定される職場は僅少であり、被害者の就職が現実に制限されているわけではない。」と反論したが、裁判所は、被害者には、「左大腿内側部瘢痕に派生する機能障害及び知覚異常等も認められる」とし、労働能力喪失率を5パーセント、労働能力喪失期間を20年として、逸失利益を認定した。

 

③慰謝料(後遺障害分)

一般の14級相当の後遺障害に比し、被害者の後遺障害は、とりわけ強い精神的苦痛を与えているとして、150万円を認定した。

 

小林のコメント

被害者の醜状障害は、顔面ではなく、下肢という比較的目立たない場所にありましたが、裁判所は、本人尋問の結果等から、後遺障害の内容・程度や、おそらく被害者が未婚の女性であったことも考慮して、逸失利益を手厚く認め、慰謝料も増額したものと思われます。

トップへ