【解決事例】反対車線側の駐車場に入ろうと停止中、後退してきた車に衝突された事故 ―裁判で 被害者に過失なしとされた事例 ―
被害者
20代男性(会社員)
傷病名
外傷性頸部症候群、腰椎捻挫(後遺障害なし)
事故の概要
片側2車線道路の第2車線を走行していた被害者は、反対車線沿いの駐車場に入るため、右折ウィンカーを点滅させて第2車線上に停止していました。
その際、駐車場から後退しながら出てきた車があり、被害者はその動きを確認して停止していたところ、後退車がそのまま接近して衝突しました。
【事故現場見取図】
交渉から裁判までの経緯
事故直後から物損の示談交渉を行いましたが、過失割合で折り合わず交渉は不成立。被害者は無過失を主張しましたが、加害者側は「被害者にも2割の過失がある」として譲らず、治療終了後の人身示談交渉でも合意に至らなかったため、訴訟提起に踏み切りました。
裁判の内容
加害者側は、被害者は危険を察知できたのだから、駐車場への進入を避けるか、クラクションを鳴らすべきだったと主張しました。
しかし裁判所は、
・駐車場に進入するため付近の路上で一時的に待機する行為は通常の運転行動といえる。
・後退車が2車線を横切って転回することまで予測しなかったとしても、安全運転義務違反とはいえない。
と判断し、被害者に過失は認められないと結論づけました。
判決の認容額
物損・人身損害計 約114万5千円+弁護士費用+遅延損害金
→ 総額約124万円の支払いが命じられました。
小林のコメント
軽微な事故では通常、半年程度で示談が成立することが多いですが、本件は加害者が過失割合を一切譲らず、謝罪もないまま時間だけが経過したため、裁判に至りました。
事故から約2年5か月後に判決が下され、被害者の主張が全面的に認められた事案です。
因みに、示談交渉時の請求額は、物損 約14万円、人身損害 約90万円、合計約104万円でした。
【2025年10月5日更新】
執筆者:渋谷シエル法律事務所 弁護士小林ゆか