【弁護士コラム】民法改正(債権法改正) の民事交通事故実務への影響 その2

■中間利息控除

死亡や後遺障害による逸失利益等(将来の利益)、将来の介護費用等(将来の費用)については、損害額の算定に当たって中間利息(その利益を取得すべき時までの利息相当額)を控除しますが、従前、その利率は年5%とされていました(最高裁第三小法廷平成17年6月14日判決)。

 

この点につき、改正民法(平成29年法律第44号。令和2年4月1日施行)は、中間利息控除に関する規定を新設し、中間利息を控除する場合は、その損害賠償請求権が生じた時点における法定利率によることを明記しました(改正後の現行民法417条の2、722条)。

 

このため、施行日以降(=令和2年(2020年)4月1日以降)の当初3年間に発生する交通事故については、中間利息控除に用いる利率は年5%ではなく年3%となりました。

 

■消滅時効

不法行為による損害賠償請求権は、「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき」は、時効により消滅します。この原則は、改正民法でも変わりませんが、「人の生命・身体を害する不法行為」については、新たに特則が設けられ、時効期間が3年から5年に延ばされました(改正後の現行民法724条の2、1項)。

 

また、不法行為の時から20年間権利を行使しないときにも消滅しますが、この期間制限についても、時効期間であると明記されました(改正後の現行民法724条の2、2項)。従って、この期間についても時効の更新や完成猶予の規定が適用されることになりました。

 

特筆すべきは、これらの規定については、交通事故が施行日前(=令和2年(2020年)4月1日前)に発生した場合でも、施行日において、3年の時効が完成していなかったとき、あるいは、20年の期間が経過していなかったときは、改正民法が適用されるという特殊な経過措置が定められたことです(附則35条)。

 

つまり、この経過措置により、本来、民法が改正されなければ3年の時効により権利が消滅したであろうケースが、時効期間が5年に延ばされたことにより救済される結果となります。これは人の生命・身体という重大な利益が侵害された場合には保護すべき必要性が高いため、権利行使の機会を確保すべきという価値判断によるものです。

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