【弁護士コラム】交通事故の被害者が陥りがちな誤解③
交通事故の被害者が陥りがちな誤解③
「動いている車両同士の事故では必ず過失が認められてしまう」?
被害者からよくあるご相談
「保険会社から“動いている車同士では10対0はない”と言われました。本当ですか?」
実際に、多くの被害者の方から良く聞かれます。
たしかに、追突事故のように明確なケースとは違い、双方が動いていた場合には過失割合が問題となりやすいのは事実です。しかし、「必ず過失を負わされる」ということはありません。
相手が一方的に悪いケースはあります
例えば、相手が信号を無視して突っ込んできた場合や、直進中のバイクの前に対向車線から急に自動車が右折してきた場合など、一方的に相手が悪いケースは少なくありません。このような場合には、被害者に過失はない、つまり「10対0」と認められることはあります。
「証明する手段」を持つことが大切
問題は、こちらに過失がないことをどう証明するかです。
ドライブレコーダーがあれば非常に有力な証拠となります。なくても、事故現場付近に設置された防犯カメラの録画から事故状況が分かる場合もありますし、人身事故であれば警察が作成する実況見分調書があり、事故状況を客観的に示してくれます。さらに、相手が刑事事件として起訴されれば、供述調書などの記録も後で入手でき、重要な証拠となります。
あきらめる必要はありません
保険会社から「動いている車同士だから10対0は無理です」と言われると、気持ちが落ち込んでしまうと思います。でも、それは必ずしも正しいとは限りません。事故状況を示す資料を集めれば、あなたに過失がないと認められる可能性は十分あります。
専門家と一緒に進めましょう
事故直後は不安も大きく、交渉で孤立してしまうと納得のいかない結果になりがちです。そんな時は、弁護士など専門家に相談していただきたいと思います。あなたが不利な立場に置かれることなく、本来受けられるべき補償をきちんと受けられるよう、一緒に道を探してもらいましょう。
【2025年9月7日更新】
執筆者:渋谷シエル法律事務所 弁護士小林ゆか









