【弁護士コラム】交通事故の被害者が陥りがちな誤解②
交通事故の被害者が陥りがちな誤解②
―「異議申立は認められない」は間違い―
「異議申立は無駄」は誤解です
交通事故により後遺障害の申請を行ったものの、「非該当」とされた被害者は多くいます。又、想定外の低位な後遺障害しか認定されなかった方もいるでしょう。
その際、「異議申立はしても無駄」と周囲に言われ、諦めてしまう方が少なくありません。しかし、これは大きな誤解です。
初回認定に問題があれば異議申立をする価値がある
自賠責保険の後遺障害等級は、医師の診断書や検査結果などをもとに審査されますが、必ずしも初回の認定が正しいとは限りません。
症状が診断書に記載されていない、必要な検査が行われていない、事故後の症状の経過が追えないなど、初回認定時に見落としや情報不足があるケースは少なくないのです。
こうした場合、正当な判断を得るためには異議申立が極めて重要です。
記載や資料不足が認定を妨げる
例えば、診断書の「症状経過欄」に、毎月同じスタンプだけが押されているだけの例もあります。これでは事故との因果関係や症状の持続性を確認できず、正確な審査が困難となります。
諦めず工夫すれば、結果は変わる
しかし、だからこそ異議申立には意味があります。私の経験でも、自賠責保険に2度異議申立を行い、2度目で後遺障害等級が認定されたケースや、異議申立を2回行った後、自賠責紛争処理機構に申し立てて認定が覆ったケースがあります。このように、一定の時間と労力を要することもありますが、必ずしも長期化するとは限りません。
症状と医学的所見が整合し、説得的な資料が揃っていれば、1度目の異議申立で認定が覆るケースも多くあります。重要なのは、初回認定の問題点を正確に把握し、それに対応する資料や医師の意見書、検査結果などを的確に提出することです。丁寧な準備こそが、認定結果を変える鍵となります。
思い込みで諦めないことが大切
「異議申立は通らない」というのは思い込みに過ぎません。認定結果に疑問があるなら、問題点を丁寧に洗い出し、必要な対応を講じることで正当な評価を受けることが可能です。諦める前に、ぜひ冷静に検討してください。
【2025年7月31日更新】
執筆者:渋谷シエル法律事務所 弁護士小林ゆか