【バイク事故判例㊱】同一車線内を進路変更した先行バイクと後方からバイクを追い越そうとした乗用車との衝突事故で、バイクと乗用車の過失割合を5対5と認定し、右肩を負傷したバイク運転者について自賠責保険で認定された右肩関節の機能障害(後遺障害)が裁判で否定された事例

(令和5年2月8日鹿児島地裁判決/出典:自保ジャーナル2151号32頁等)

関係車両

バイク(普通自動二輪車)、四輪車(普通乗用自動車)

 

事故の概要

乗用車は、直進して右折レーンに進入しようと、先行するバイクを右側から追い越そうとしたが、バイクも右折予定で、同一車線内を左側から右側へ寄ってきたため、バイクの右側面が乗用車の左側面後方に衝突した。

 

けが(傷害)

右多発肋骨骨折、右鎖骨粉砕骨折、右肩甲骨骨折、血胸、右母趾末節骨開放骨折、左母指中手骨粉砕骨折、両手右膝右肘挫創

 

治療期間

入院72日、通院22ヶ月弱

 

後遺障害等級

自賠責保険の認定は、併合11級(①右鎖骨粉砕骨折後の右鎖骨の変形障害につき12級5号、②右肩甲骨骨折後の右肩関節の機能障害につき12級6号)

 

判決のポイント

①過失割合

裁判所は、衝突箇所からみて乗用車が追い越しを開始した後にバイクが右側へ進路変更したと考えられるとし、その点からするとバイクの過失が大きいともいえるが、他方で、乗用車にとっては、バイクが右折のために同一車線内で進路を変更する事態も予想され得るので、このことも考慮して、双方の過失割合は5対5とするのが相当であると述べました。

 

②後遺障害等級

自賠責保険では右肩関節の機能障害に対し12級6号の後遺障害等級が認定されましたが、裁判では、この点が争点となりました。

 

後遺障害診断書では、右肩の可動域(屈曲=前方挙上、外転=側方挙上、伸展=後方挙上)の測定値は、健側(左肩)の3/4以下になっているので、12級6号の後遺障害に該当します。

 

しかし、裁判所は、同時期に通院先の医療機関で測定された右肩の可動域(屈曲や外転)は、概ね他動で140度ないし165度で、両肩が測定された場合には両肩とも同じ数字になっているのに対し、後遺障害診断書作成のための診察時のみ右肩の数値が80度ないし75度と著しく低くなっており不自然であるとの理由から、後遺障害診断書の測定値に信用性を認めず、右肩の機能障害の後遺障害を否定しました。

 

小林のコメント

裁判では右肩関節の後遺障害が否定されたため、後遺障害等級としては自賠責保険で認定された併合11級ではなく、12級(右鎖骨変形だけ)となりましたが、それでも物損を含む損害として合計998万余りが認定されました。

 

ただし、5割という大幅な過失相殺の結果、既払金451万円を控除後の金額として判決で認められた賠償金は53万円余りに止まりました。

 

【2024年3月27日更新】
執筆者:渋谷シエル法律事務所 弁護士小林ゆか

 

トップへ