【弁護士コラム】統計からみる高齢者の交通事故の特徴

● 都内における発生件数

超高齢社会の日本では、高齢者が関係する交通事故の発生件数も多く、東京都内についていうと、2021(令和3)年中の65歳以上の高齢者の交通人身事故の発生件数は9,499件でした(警視庁の交通事故統計より)。

 

● 高齢者の交通事故の特徴

高齢者の交通事故の特徴の1つは、他の年齢層に比べて死亡者数が多いことです。2021(令和3)中の東京都内の交通事故による死亡者数は133人でしたが、年齢別にみると、うち65歳以上の高齢者の死亡者数は58人で、実に43.6%を占めています。

 

死亡事故に至らない場合でも、身体機能が低下をしているため、治療が長期化する傾向にあります。

 

● 事故の発生状況

高齢者の交通事故の発生状況としては、四輪車乗用中の交通事故が最も多い53.4%となっています。歩行中の事故は13.2%ですが、死者数は、歩行中に事故に遭遇した場合が最も多く、69%を占めています。

 

● 歩行中の事故の発生状況

高齢者が歩行中の交通事故は、道路を横断中に多く発生しています。高齢者は、法令違反がないケースも多いですが、中には、高齢者側の信号無視や横断歩道以外横断など横断違反も多く、それが結果的に重大事故の発生につながっているケースもみられます。

 

また、高齢者は一般的に身体機能が低下しているため、自分が思っているほど速く歩くことができないことも交通事故被害に遭う原因になっています。

 

● 高齢者事故について思うこと

以前の原稿でも書いたとおり、高齢者が被害者となった場合の賠償問題は論点が多く、困難事案が多いと感じます。交渉代理中に想定外の事態が起こることも屡々です。そもそも、ご高齢であるが故に、たとえ認知能力に問題がなくとも、高齢者自身が賠償問題の当事者として行動することは期待出来ず、ご家族(息子さんや娘さん等)が窓口になるケースが殆どです。したがって、ご家族と強固な信頼関係を保ちながら、早期解決にあたるのが肝要と感じています。

トップへ